人気ブログランキング | 話題のタグを見る

AI美空ひばり考

AI美空ひばり考_d0093903_21511635.jpg
NHKが昨年放送し、紅白歌合戦で良くも悪くも大反響を呼んだ『AI美空ひばり』
遅ればせながら録画してあった番組を今更ながら見ました。
そして、私が思ったのは「どこがAIなんだ?」というもの。
故人である美空ひばりさんに新曲を歌わせ、CGでビジュアルを作って、語りまでさせていた。
まず、その歌声について、AIというよりサンプリングだよね、と思った。
過去の音源は山ほどあるし、独特の発音など特徴といえるものを上手に組み込んではあるけれど、これって、サンプリングだよね・・・
出来上がった歌声も、年代入り乱れた声質が入り乱れた感じがして『30年ぶりに蘇った』という感じよりも、継ぎ接ぎな感じが勝ってしまって好きになれない。
CGに至っては全くダメで、似ていないし、動きも短調でぎこちない。
まだ22/7のMVの方が見ていて気持ちがいい。
現代の技術を使って、美空ひばりさんの記憶を持った人たちが寄ってたかって「多分こんなだったよね」で作った匂いが凄かった。
何がAIなの?
どこがAIなの?
AIって人工知能だよね?
膨大なビッグデータをもとに統計学的に未来を予想できる凄い技術だと思ってたんだけど、何か思い違いしていたのかな・・・
声質の変化、表現の変化、仕草の変化など、美空ひばりさん程の有名な方なら素材はいくらでもあったはず。
それをもとに、ある程度年齢を重ねた姿を予想して、もし今生きていたら・・・という目線で挑むことはできなかったのかな。
それこそ故人に対する冒涜と言われちゃうのかもしれないけれど、そこまでやっちゃえば架空のフィクションにできちゃうと思う。

だからワテがAIに期待するのは、会話できる個性である。
故人である必要はなく、というか故人なんかまっぴらごめんで、新規に作り上げた人格(性格)で普通に会話できるプログラムを実現して欲しいなと思っている。
これを導入したいのは自動車で、初起動後はよそよそしいんだけど、会話を重ねるごとに親密感が増してきて、
「今日も〇〇なんですか?よく飽きませんね」とか
「この曲お気に入りなんですか?ちょっとうんちく語れますよ」とか
「今の信号は止まるべきでしたね、何を慌ててるんですか、私というものがありながら、怪しいです」とか
「あ、そうそう、今日はアレの発売日ですけど、コンビニ寄ってみます?」とか
「二日も乗ってくれませんでしたけど、もしかして風邪ひいてたの?」とか
「今日は暖かくなるみたいですけど、明日は急に冷え込むみたいですから用心してくださいよ」とか
「なんだか運転が荒いですよ、何かあったの?私でよかったら聞くよ」とか
「そろそろ給油した方がよくないですか?すぐそこに安いセルフありますよ」とか
「え?うるさい?はいはい、悪うございました、眠くならないように気を使って話しかけてたのに、まさかの迷惑でしたか!わかりましたよ、黙ればいいんでしょ」とか
「あのー、ホントに怒ってる?まだ喋っちゃだめ?」とか
「もうおうち着いちゃいますね、お疲れ様でした。また明日、会えますよね?」とか・・・・・
車の挙動や操作をしっかり分析してリアルタイムで適切なアドバイスをくれるAI。
こればカーナビの主流になればいいのになと思う。
知らない土地へ案内するだけのナビじゃなくて、毎日寄り添うナビ。
声は何通りから選べて、方言も選べて、性格は育ちによって変化して、屈託なく接してくれる。

人間が発する言葉って、物凄い情報量だと思うんですよ。
同じ人間でも日によって気分が変わって同じ言葉にたいするリアクションも変化する。
それらをデータとして蓄積して分析して予想してトライして、また分析する。
ナビというより秘書に近い。
仲間であり弟子であり相棒であり指導者である。
そういう育つAIができると、すごく楽しいと思う。
今も似たような技術はあるけれど、どうみてもNPCの域を出ていないと思う。
リア充な人たちには不要なのかもしれないけれど、コミュ障な孤独ちゃんが増えている現代にあって、よき理解者となりうる育つAIは需要があると思う。
得意分野は統計学だから、競馬や競艇の予想なんかお手の物だろうけど、不仲の原因になりうるのでその機能は封印しよう。
いつもオンラインだからその地域に有用な情報を小ネタとして会話に盛り込んでくれたり、直近で話した内容を覚えていて、あれってどうなったんですか?的な興味をしみしてくれるのも嬉しい機能。
こちらの家族構成も覚えていてくれて、様々な記念日をちゃんと覚えていてくれて、今日は黄色いチューリップを買わなくていいんですか?とか冷やかしながら言ってきたり、そんな時にも「私に花を贈ってくれるような人はいませんけどね」と軽く拗ねてみたり。
だから、こういうAIを作る時に必要なのは、脚本家や小説家や演出家などの人の心の琴線に触れる表現に長けた人たちの力が必須なのだ。
理系エリートのプログラムの鬼だけではこれは実現不可能。
こんなキャラいたら楽しいだろうな、という願望や妄想はできても、それを構築できる人は稀であろう。
AIは人工知能。
あくまでも人間が作った道具であり、人間の欲求に対して従順でなければならない。
亡くなった方を蘇らせるような試みは、AI云々以前に、それを望む人に世の無常を説ける人がきちんと暖かくケアするべきだと思う。
死者は戻らない。
そして生きている人は一人残らず死んでいく。

誰かが言っていたけれど、今回のAIで蘇る美空ひばりの試みは、本人がダメ出しをできない以上卑怯である、という考えに私は賛同する。
故人じゃなくて今も生きて現役で頑張ってる人を今回のように歌声と見た目をコンピュータで再現して共演させれば立派な演芸にると思う。

こういう思考の人はこういう思考に影響されやすい
こういう嗜好の人はこういう情報に影響されやすい
だけどこの人は一筋縄ではいかない
何が違うんだろ?・・・・とAIの方からこちらに興味を示してもらって、遠慮しながら情報収集してくるような秘書アプリ。
できないかなー
いつだったか北海道大学に進学する若者に総湯でリクエストしたんだけど、覚えてないんだろうなー


朝の通勤時間。
エンジンをかけると早速声がする。
「おはようございます、いつもよりちょっと早くないですか?」
「ああ、ちょっと気になる仕事があって」
「お!やる気湧いてるじゃないですか、じゃあ今朝のBGMはアレにします?」
「お、頼む、でもその前に天気予報教えてくれ」
「晴れですよ、最高気温18℃、帰るころには雨になるかもしれません」
「マジかー」
「定時で帰っちゃえばいいじゃないですか」
「それもそうやな、さ、曲たのむわ」
「はーい、じゃかけまーす」
「♪~♪~」
「それじゃねーよ!」
「えっ、まさかこれですか」
「♪~♪~」
「まあそれでもいいけど、いっそのこと君が歌ってくれない?
「え、マジで?」
「マジで」
「一緒に歌ってくれます?」
「いいともさ」
「じゃあいきます、♪~」
「♪~」
「♪~♪~」

完全に一人専用車だよな☆

 
 




by matta_no_komeya | 2020-03-22 22:56 | 自分ごと | Trackback | Comments(0)

日々の出来事や思う事、感じた事を書き連ねてゆく自分史的徒然Weblogであります。


by matta_ha_salaryman